開門問題に関する動き

平成9年4月 潮受堤防締切り
平成12年11月~平成13年4月 ノリの不作が問題化
平成14年4月24日~5月20日

短期開門調査を実施し、調整池に海水導入(事前・事後を含めた調査期間:平成14年4月1日~12月10日)
【調査結果】開門調査の影響はほぼ諫早湾内に止まり、諫早湾外の有明海にはほとんど及ばなかった。
【開門の被害】アサリ等に被害が生じ、国は約6000万円の漁業補償を行っている。

平成15年12月

中・長期開門調査検討会議報告書の公表
【論点整理のポイント】

  • 多岐にわたる観測データから開門の影響を抽出し、諫早湾干拓事業による有明海の環境への影響を検証することは困難。
  • 開門調査実施というアプローチに関しては、具体的にどのような手法により、どのような知見が得られるかは、明確な結論が得られなかった。
  • 中長期開門調査の実施に当たっては、その対策に必要な経済的負担、準備期間、回避困難なリスク等を検討する必要がある。
平成16年5月11日 亀井善之農林水産大臣(当時)が、中・長期開門調査を実施しないことを表明
平成20年3月 諫早湾干拓事業完了
平成20年6月27日 佐賀本訴の佐賀地裁判決(開門を認める)
平成22年12月6日

佐賀本訴の福岡高裁判決(開門を認める)
【判決概要】

  • 判決確定の日から3年を経過する日までに、防災上やむを得ない場合を除き、本件排水門を開放し、以後5年間にわたって開放を維持せよ。

※開門判決は、潮受堤防締切りと漁業被害の因果関係を合理性に欠ける根拠により認めているほか、諫早湾干拓事業の防災機能や営農の役割を適正に評価しておらず、開門による漁業や自然環境への影響を適正に配慮していない等、多くの問題があるものだった。

平成22年12月8日

地元や県が国に対して最高裁に上告するよう要請
【要望趣旨】

  • 開門による深刻な影響・被害を被ることは、短期開門調査から明らか。
  • 環境アセスの結果を待って、開門の是非については慎重に判断していただきたい。
  • 佐賀本訴の福岡高裁判決については、上告していただきたい。
平成22年12月15日 菅直人総理大臣(当時)が地元要請を無視し上告断念を表明(12月20日上告期限の経過により開門判決確定)
平成23年4月19日 新旧干拓地の営農者、地元の漁業者、住民及び長崎県農業振興公社が長崎地裁に排水門の開放差止めを求めて提訴<開門差止訴訟>
平成23年6月27日 小長井・大浦開門請求訴訟の長崎地裁判決(漁業者の開門請求を棄却)
平成24年11月22日

開門調査に係る環境アセス公表<地元が懸念したとおりの結果>
【環境アセスの結果】

  • 排水門を開門しても、潮流や水質等への影響はほぼ諫早湾内に止まり、有明海の環境改善につながる具体的効果は期待出来ない。
  • 開門されれば、地元の防災、営農、漁業面に深刻な影響が想定される。
平成25年11月12日

開放差止仮処分決定(地元の開門差止めの申立てを認容)
【決定概要】

  • 開門による地元への甚大な被害を認めた。
  • 事前対策は、その実現性や効果があるとは認められない。
  • 漁業環境改善の可能性は低いとするアセスの結果を認め、開門の影響の抽出は困難で、開門調査の必要性は高くない。
  • 開門による甚大な被害と開門の公共性、公益性について比較し、前者が優先する。
平成26年1月9日 国が佐賀地裁に開門確定判決の執行力の排除を求めて提訴<請求異議訴訟>
平成26年4月11日 佐賀地裁が開門勝訴原告の申立てを認め、国への間接強制(開門するまで1日49万円の支払い)を決定
平成26年6月4日 長崎地裁が地元の申立てを認め、国への間接強制(開門したら1日49万円の支払い)を決定
平成26年12月12日 請求異議訴訟の佐賀地裁(国の請求を棄却。開門を認める方向の判決。)
平成27年3月24日 佐賀地裁が開門勝訴原告の申立てを認め、国への間接強制の増額(開門するまで1日90万円の支払い)を決定
平成27年9月7日

小長井・大浦開門請求訴訟の福岡高裁判決(漁業者の開門請求を棄却)
【判決概要】

  • 前訴判決の漁業被害の判断基準を否定し、潮受堤防締切りによる漁業被害を否定。
平成27年11月10日 開放差止仮処分異議審決定(地元の開門差止めの申立てを認容)
平成28年1月18日 開放差止訴訟(本訴)において長崎地裁が開門しない前提の和解勧告
平成28年5月23日

開放差止訴訟(本訴)の和解協議で国が有明海再生策の骨子として100億円規模の有明海振興基金(仮称)の創設を提案
※有明海沿岸4県及び4県漁業団体のうち、福岡・長崎・熊本の県及び漁業団体が賛成、佐賀の県及び漁業団体は反対。別件訴訟で開門を求める漁業者も反対。

平成29年3月27日 開放差止訴訟(本訴)の和解協議について、長崎地裁が「合意に至る見込みがない」として打ち切りを宣告
平成29年4月17日

開放差止訴訟(本訴)の長崎地裁判決(地元の開門差止請求を認容)
【判決概要】

  • 開門により、原告農業者の農地には塩害、潮風害又は農業用水の水源の一部喪失の発生する高度の蓋然性があり、各原告農業者の被害は、重大というべき。
  • 被告国の予定する事前対策は、実効性に疑問があるものがあり、原告らの被害のおそれは否定されない。
  • 開門がなされても、諫早湾及び有明海の漁場環境が改善する可能性及び改善の効果はいずれも高くない。
  • 開門調査を実施し、調査結果を公表することは一定の公共性、公益上の必要性があるが、実態解明の見込みは不明であり、農業は重大な被害を受ける恐れがあることに照らすと、公共性、公益性は減殺される。
  • 開門による被侵害利益と開門の公共性、公益上の必要性とを比較し、差止請求を認容すべき違法性がある。
平成29年4月17日 開門を求める漁業者が長崎地裁に対し、開放差止訴訟(本訴)への独立当事者参加を申出
※平成29年4月19日と平成29年6月30日にも、開門を求める別の漁業者が独立当事者参加申出
平成29年4月25日

山本有二農林水産大臣(当時)が談話を発表し、開放差止訴訟(本訴)判決について控訴せず開門しない方針を表明
【山本有二農水大臣談話(概要)】

  • 開門によらない基金による和解を目指すことが本件の問題解決の最良の方策と考える。
  • 国として開門しないとの方針を明確にして臨むこととし、今般の判決を受け入れ、控訴しないこととした。
平成29年4月25日 開放差止訴訟(本訴)判決に対し、独立当事者参加申出人が長崎地裁に控訴状を提出
平成30年2月26日 請求異議訴訟控訴審において和解勧告が行われ和解協議開始
平成30年3月5日 請求異議訴訟において福岡高裁が和解勧告の文書で和解の方向性を提示
【和解の方向性】
開門しないことを前提に、開門に代わる基金等の方策による全体的解決を図るものとする。
平成30年3月19日 開放差止訴訟(本訴)に係る独立当事者参加申出事件の福岡高裁判決(開門を求める漁業者の参加申出及び控訴を却下。開門差止めを認める方向の判決。)
平成30年5月22日

請求異議訴訟において福岡高裁が第2次和解勧告を提示
【和解の骨子】開門しないことを前提として

  1. 国において提案する基金を実現すること
  2. 国において有明海の環境変化の原因究明調査を行い、有明海再生に向けた取組を継続すること
  3. 3県漁業団体が要望する「有明海再生事業の継続」「こまめな排水の確実な実施とマニュアル化」「基金と別枠での排水ポンプ増設」について、国において前向きに検討すること
  4. これまでに支払われた間接強制金について調整を図ること
平成30年5月28日 請求異議訴訟において福岡高裁が「和解は困難」と判断し和解協議が終了
平成30年7月30日

請求異議訴訟の福岡高裁判決
【判決概要】

  • 開門確定判決に基づく強制執行は、これを許さない。
  • 開門確定判決に基づく強制執行は、これを停止する。

※この判決により間接強制金の支払いの停止が認められた。支払総額12億3030万円。

令和元年5月22日 請求異議訴訟において最高裁が開門派の上告受理申立てを受理(上告は棄却)
令和元年6月26日 開放差止訴訟(本訴)に係る独立当事者参加申出事件の最高裁決定(開門を求める漁業者の上告を棄却)
※開門差止めを認めた平成29年4月17日長崎地裁判決が確定。
令和元年6月26日 小長井・大浦開門請求訴訟の最高裁決定(漁業者の開門請求を棄却)
※開門請求を認めなかった平成27年9月7日福岡高裁判決が確定。
令和元年9月13日

請求異議訴訟の最高裁判決
【判決概要】

  1. 原判決中上告人らに関する部分(強制執行の排除・停止を認めた平成30年7月30日福岡高裁判決)を破棄する。
  2. 1の部分につき、本件を福岡高裁に差し戻す。
令和2年3月10日 長崎2次・3次開門請求訴訟の長崎地裁判決(漁業者の開門請求を棄却)
令和3年4月28日

請求異議訴訟差戻審において福岡高裁が「和解協議に関する考え方」を提示
【考え方の要旨】

  • 判決だけでは、どのような結論になろうとも、紛争の統一的、総合的かつ抜本的な解決には寄与することができない。話合いによる解決の外に方法はないと確信している。
  • 柔軟かつ創造性の高い解決策を模索するため、和解協議の場を設けることとしたい。
  • 国のこれまで以上の尽力が不可欠であり、和解協議における国の主体的かつ積極的な関与を強く期待する。
令和3年10月27日 請求異議訴訟差戻審において福岡高裁が「これ以上の協議の続行は難しい」として和解協議を打ち切り
令和4年3月25日

請求異議訴訟差戻審の福岡高裁判決
【判決概要】

  • 開門確定判決に基づく強制執行は、これを許さない。
  • 開門確定判決に基づく強制執行は、これを停止する。
  • 前訴の口頭弁論終結時と比べて、漁業者の漁業行使権への影響の程度が軽減する一方、締切の公共性は増大する方向。漁業者らの請求を認めるに足る違法性があるとは言えない。
令和5年3月1日 請求異議訴訟の最高裁決定
※開門確定判決に基づく強制執行を許さないとした令和4年3月25日福岡高裁判決が確定。これにより開門しない方向で司法判断が統一された。
令和5年3月2日

国が「有明海の再生を願う皆様へ」とする新たな大臣談話を発表
【野村哲郎農水大臣談話(概要)】
今後は、積み重ねられた司法判断と最新の科学的知見に基づき、「話し合い」を行い、有明海再生の方策を「協議」していくべき。
裁判ではなく話し合いにより有明海再生を図っていく方向性に賛同していただけるのであれば、国は、平成29年大臣談話の趣旨を踏まえつつ、

  1. 国、地方公共団体、漁業関係者、農業関係者等の関係者の「話し合いの場」を設けるとともに、
  2. 有明海再生の加速化を図るため合意し、協働して実施する各種方策を後押しするため、必要な支援を講じる。
  3. 訴訟当事者が、国との関係で不安に感じられている事柄があれば、できる限り寄り添った対応を行う。
令和5年3月28日 長崎2次・3次開門請求訴訟の福岡高裁判決(漁業者の開門請求を棄却)
令和6年2月14日 有明海沿岸3県の漁業団体(福岡県漁連、佐賀県有明海漁協、熊本県漁連)が令和5年大臣談話への賛同を表明
令和6年3月26日 長崎県漁連が国に令和5年大臣談話に賛同を表明
令和6年4月24日 長崎2次・3次開門請求訴訟の最高裁決定(開門を求める漁業者の上告を棄却)
※開門請求を認めなかった令和5年3月28日福岡高裁判決が確定。
令和6年12月27日

国の令和7年度予算の概算決定に伴い、国が「有明海再生の加速化に向けた支援について」とする新たな大臣談話を発表
【江藤拓農水大臣談話(概要)】

  • 10年間総額100億円の有明海再生加速化対策交付金を創設し、漁業者の取組を後押しする。

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