【卒論紹介】暖地向け早生ニンニクにおける品種比較試験(1月24日)
1.はじめに
 ニンニクは昨今市場価格が上がっている作物であり、大田市場では過去5年間の平均価格で約1,200円/㎏と高値で取引されている。さて、ニンニク栽培では、九州などで作られる暖地用品種と、関東や東北で作られている寒冷地用品種がある。九州をはじめとした暖地用の品種は小玉の「嘉定」が一般的に普及しているが、長崎県では地域の品種として「平戸」がある。この「平戸」は「嘉定」よりも2倍程度大球になる特性があり増収が見込める。私の家では一般的な「嘉定」を作っているので、家の作付けの参考にするため、今回この2品種を栽培し生育特性・収量を比較検討した。

2.材料及び方法
 1)実施場所 農業大学校 野菜コース 露地圃場 0.14a
 2)試験期間 2023年10月10日~2024年5月13日
 3)供試品種 「平戸ニンニク」「嘉定ニンニク」
 4)耕種概要
  (1)栽培方法:普通栽培(暖々マルチ)
  (2)栽植密度:畝間120㎝、株間15cm、3条植え、16,667株/10a
  (3)供試本数:各区10株
  (4)植付日:2023年10月10日
  (5)収穫日:2024年5月8日、5月13日

3.結果
  
  
                     
                   図 収穫物調査

4.考察
 品種に期待される球重量で見ると、「嘉定」(50~70g:八江農芸HPより参照)は満たしているのに対して、「平戸」(100~150g)は74gと3割以上足りない結果となった。
 今回供試した「平戸」の種片はサイズの小さいものが多かった可能性があり、それが発芽率や収穫球に影響を与えたのではと考えられる。

5.おわりに
 今回の試験では、大玉とされる「平戸」も「嘉定」と同等程度の球重にしかならず、当初の期待通りにはいかなかった。だが、試験を振り返り、より大球に育て、収量を上げる余地があることも分かったので、次は家でも大球の「平戸」目指して作ってみたいと思える研究だった。卒論を通して、試験前には気づかなかった論文や参考データを見つけることができた。ニンニク以外の野菜でも、調べる姿勢を大事にしていきたい。