障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例
平成28年度活動報告書  長崎県福祉保健部障害福祉課

はじめに
本県では、障害のあるなしにかかわらず、誰もが社会を構成する一員として、あらゆる社会活動に参加できる共生社会の実現を目指して、障害のある人に対する差別を禁止し、差別をなくすための
施策を推進するための事項を定めた、「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」を制定しています。
この報告書は、条例全面施行から3年目にあたる平成28年度、1年間の相談活動実績をまとめたものです。
相談窓口にどのような相談が寄せられ、問題の解消のために何が求められているのかを県民の皆様に知っていただくことで、障害のある人に対する差別をなくし、共生社会を実現するためにできることは何なのか考えていただくきっかけになればと思います。
 
目次
Ⅰ 条例の仕組み
1 条例の目的
2 障害のある人とは
3 差別の禁止
4 相談体制
5 問題解決のための調整機関
6 問題解決までの流れ

Ⅱ 相談活動の実績
1 相談者
2 相談方法
3 相談分類
4 相談分野
5 対応方法
6 活動回数
7 連携
8 圏域別の相談件数

Ⅲ 相談事例
1 不均等待遇に関する相談事例
2 合理的配慮に関する相談事例
3 その他の相談事例

Ⅰ 条例の仕組み                                  
1 条例の目的
この条例は、障害や障害のある人に対する県民の理解を深め、障害のあるなしにかかわらず、誰もがあらゆる社会活動に参加できる共生社会の実現を目指しています。
 
2 障害のある人とは
身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病を原因とする障害など心身の機能の障害があり、これらの障害と社会的障壁によって、継続的又は断続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態にある人を「障害のある人」と規定しています。 
         
3 差別の禁止
不均等待遇を行うこと
不均等待遇とは、障害や障害に関することを理由として、区別、排除、制限したり、条件を課すなど、障害のない人と異なる取扱いをすることです。特別な事情がないのに不均等待遇を行うことは差別に当たります。

合理的配慮を怠ること
合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と同等に権利を行使したり、同等の機会や待遇を受けるために必要な現状の変更や調整を過度な負担が生じない範囲で行うことです。障害のある人の求めがあった場合に、特別な事情がないのに合理的配慮を怠ることは差別に当たります。

4 相談体制
差別に関する相談窓口として、各市町に地域相談員を183名(平成29年3月31日現在)、長崎県障害福祉課内に広域専門相談員を2名配置しています。相談を受けた地域相談員と広域専門相談員は、当事者それぞれの話を十分に聴き、問題解決に向けて取扱方針を決定し、その方針に基づき連携して対応します。地域相談員は、各市町が委嘱している身体障害者相談員・知的障害者相談員・精神保健福祉相談員で承諾が得られた方に委託しています。

地域相談員の内訳(平成29年3月31日現在)

身体障害者相談員109名、知的障害者相談員59名、精神保健福祉相談員11名

5 問題解決のための調整機関
地域相談員や広域専門相談員による問題解決が困難な場合は、障害のある人やその関係者からの申し立てにより、「障害のある人の相談に関する調整委員会」(以下、「調整委員会」という。)が助言・あっせんを行います。調整委員会は、申立てのあった事案について専門的な見地から公正・中立な判断をし、当事者双方の事情や意見を検証して、解決に向けた助言やあっせんを行います。

6 問題解決までの流れ
差別に関する問題が発生したら、県の相談窓口である地域相談員又は広域専門相談員が相談を受け付けます。相談員が調査や調整等を行い問題の解決を図ります。相談員による解決が困難な場合は、申立てにより調整委員会による助言・あっせんを行い解決を図ります。特に悪質な差別があったと思われる事案を解決するための手段として、知事による勧告・公表を用意しています。

Ⅱ 相談活動の実績                                
1 相談者
本人22件(47%)家族7件(15%)支援関係者13件(28%)その他5件(10%)

障害区分 肢体不自由9件 視覚障害4件 聴覚障害1件 内部障害3件 知的障害8件 精神障害12件 発達障害4件 その他6件 計47件 ※区分については、相談者へ確認し分類している。

相談者は、障害のある「本人」が22件と最も多くなっています。「その他」の5件は、学校関係者、一般の県民の方、他県の方などからの相談が含まれています。障害区分の「その他」には、障害のある人の状況全般に関しての相談などが含まれています。

2 相談方法
障害のある人に対する差別に関する相談は、電話、面談、手紙、ファックス、メールにより受理しています。相談は、障害の特性や状況に合わせて相談者が伝えやすい手段でできるようにしていますが、電話による相談が45件と大半を占めています。
受付時の相談方法 
電話
45件、
面談
1件、
手紙
1
件、ファックス
0
件、メール
0件、計
47件


3 相談分類
平成28年度、1年間に相談窓口に寄せられた相談は47件でした。その47件の分類内訳は、「差別に関する相談(特定相談)」が2件(不均等待遇0件、合理的配慮の欠如2件)、「その他の相談」が45件でした。平成28年度に調整委員会へ申立てが行われた事案はありませんでした。
 
相談分類別の件数
不均等待遇0件(0%)、
合理的配慮の欠如2件(4%)、その他
45件(96%)、計47件
「その他の相談」は、調整を望まない事案や相手方の特定が困難な事案、ご質問やご要望などです。

相談分類と障害区分
(

肢体不自由)不均等待遇0件、合理的配慮の欠如0件、その他9件、計9件
(視覚障害)合理的配慮の欠如1件、その他3件、計4件
(聴覚障害)合理的配慮の欠如1件、計1件
(内部障害)その他3件、計3件
(知的障害)その他8件、計8件
(精神障害)その他12件、計12件
(発達障害)その他4件、計4件
(その他)その他6件、計6件 

4 相談分野
条例では、日常生活や社会生活での10の個別分野における差別行為の禁止を特に定めています。
(差別の禁止が規定されている10の個別分野)
福祉サービスの提供、医療の提供、商品及びサービスの提供、労働及び雇用、教育、建築物の利用、交通機関の利用、不動産取引、情報の提供等、意思表示の受領

相談分野の分類ごとの件数
福祉サービスの提供6件、医療の提供1件、商品及びサービスの提供0件、労働及び雇用1件、教育2件、建築物の利用8件、交通機関の利用3件、不動産取引0件、情報の提供1件、意思表示の受領0件、その他25件、計47件
10分野のうち、「建築物の利用」の分野が8件と最も多く、続いて「福祉サービスの提供」の分野が6件となっています。「その他」の分野には、条例に関する意見・要望、様々な機関やサービスへの意見・要望、生活全般における不満、虐待と思われる事案などがありました。

5 対応方法
対応と相談分野の関係
(相手方との調整) 建築物の利用2件、交通機関の利用1件、計3件
(関係機関引継ぎ) 福祉サービスの提供1件、労働及び雇用1件、教育1件、その他5件、計8件
(助言) 福祉サービスの提供4件、医療の提供1件、教育1件、建築物の利用1件、交通機関の利用2件、情報の提供1件、その他4件、計14件
(相談窓口の紹介) その他2件、計2件
(情報提供・資料送付) 福祉サービスの提供1件、建築物の利用2件、その他8件、計11件
(傾聴主体) 建築物の利用3件、その他5件、計8件
(その他) その他1件、
計1件


対応と相談分類の関係
(合理的配慮の欠如) 助言1件、情報提供・資料送付1件、計2件
(不均等待遇) 0件
(その他) 相手方との調整3件、関係機関引継ぎ8件、助言13件、相談窓口の紹介2件、情報提供・資料送付10件、傾聴主体8件、その他1件、計45件


相談者の同意に基づき、相手方から聴き取り調査を行い、双方の意向を確認した後に条例における対応方針を決定し、調整や対応を行っています。「差別に関する相談(特定相談)」2件においては、全てが「相手方との調整」を行った後に、それぞれの対応により事案の終結に至りました。「その他の相談」においては、相談の内容によって、条例における考え方などを情報提供することや資料を提供することで終結した事案、話をお聴きしたことで気持ちが落ち着かれ終結した事案、「相手方との調整」を要する事案など様々な事案が含まれています。

6 活動回数
対応ごとの活動回数
(
相手方との調整) 3件、平均活動回数7.3回
(
関係機関引継ぎ) 8件、平均活動回数3.1回
(助言) 14件、平均活動回数3回
(相談窓口の紹介) 2件、平均活動回数2回
(情報提供・資料送付) 11件、平均活動回数1.6回
(傾聴主体) 8件、平均活動回数1.6回
(その他) 1件、平均活動回数2回

活動回数(対応回数)は、事案や対応方法によって大きな差がありますが、平均すると2.7回となりました。
問題の解決・終結までに時間を要する事案や、複数の機関と連携した事案においては、活動回数(対応回数)が増加する傾向がありました。

7 連携
他機関との連携
問題解決のために、必要な場合には、他の機関等と連携を図って対応を行っています。他機関等と連携し解決に至った件数は、20件でした。 
主な連携先は、県の他部局・担当課、市町の担当課、障害者団体、相談支援事業所などです。複数の機関と連携を図った事案もありました。

地域相談員との連携
相談活動
地域相談員が「差別に関する相談」を受けた際は、広域専門相談員と連携して問題の解決を図っています。地域相談員が相談者に広域専門相談員を紹介した事案や、地域相談員自身の相談で広域専門相談員に対応を依頼し、終結した事案は11件でした。
 
地域相談員研修会
県内8地区で延べ13回地域相談員研修会を開催し、条例や相談活動業務の流れ、障害特性の特徴についての研修を行いました。

相談員通信
地域相談員と広域専門相談員の連携の一助として、相談員通信を年に2回発行しています。内容は、相談実績データ、条例に関する時事の話題、相談対応時に留意したいこと、障害者差別解消法などについて掲載しました。
 
 
8 圏域別の相談件数
相談者の居住地域を障害保健福祉圏域(8圏域)で分類しています。
長崎圏域
8件
県
北圏域
14件
県央圏域15件
県南圏域6件
五島圏域0件、
上五島圏域1件
壱岐圏域
0件
対馬圏域1件
その他2件
合計47件
 
  
Ⅲ 相談事例                                 
寄せられた相談のうち、分野ごとに主なものについて、その内容、解決に至るまでの経緯を記載しています。
また、対応に当たった広域専門相談員のコメントも添えています。
     
1 不均等待遇に関する相談事例
(1)福祉サービスの提供の事例
(事例)

障害福祉サービスの利用について

(相談者)

精神障害のある人

(相談内容)
 障害福祉サービスを利用し、ヘルパーさんに自宅に来てもらっていたが、突然打ち切りになり困っている。これは、障害のある人に対する差別ではないか。

(対応)

相談者居住の市の担当課から聞取り調査を行い、今後の対応を依頼した。

(結果)
担当課からの聞取り調査により、ヘルパーから家事を教えてもらうために支給決定していたもので、ヘルパーに頼るのではなく、自分自身でできることを増やしていくように提案している段階であること、これから支給量の見直し時期に入ることが判明した。相談者は、そのことを理解されていないために不満を抱いていることから、担当課から相談者へ、再度説明をしてもらった。談者の了承を得たことから、終結とした。

(コメント)
実際に差別の問題は生じていなくても、説明不足や、説明が正しく伝わっていないことから、誤解につながり、障害のある人が「差別されている」と感じられていることがあります。説明する側は、丁寧な説明を心がけ、正しく伝わっているか確認する必要があります。また、説明を受ける側も、納得できるまで説明を求めることも必要であると考えられます。

2 合理的配慮に関する相談事例
(1)建築物の利用の事例
(事例)

点字ブロックの設置について


(相談者)

視覚障害のある人
(相談内容)

娯楽施設のタクシー乗降場から正面玄関までは、点字ブロックが設置されているが、玄関からインフォメーションまでは設置されていないので、点字ブロックを設置してほしい。点字ブロックが設置されていない部分の移動は、施設スタッフが誘導・案内している現状はあるが、これは「合理的配慮の欠如」に当たるのではないか。

(対応)

娯楽施設の担当者からの聴取り調査と現地調査を行った。

(結果)
この娯楽施設では、点字ブロックが設置されていない部分の移動を可能とするための配慮として、スタッフを配置し誘導・案内を行っているので、「合理的配慮の欠如」には当たらないと判断した。しかし、条例の趣旨と相談者の要望を踏まえ、設置を検討していただき、点字ブロックが設置された。

(コメント)
障害のある人が建築物を利用しやすい環境を整えるためには、建築物の改修等が必要となる場合も考えられますが、この条例では、建築物の改修等を直接的には求めていません。ただし、県内にある多数の利用者に供される建築物の所有者等によって、条例の趣旨を踏まえ、建築物のバリアフリー化が可能な範囲で実施されることが望まれます。

(2)教育の事例
(事例
)
教育機関における配慮不足について

(相談者)
相談者
知的障害のある子どもの母親

(相談内容)

子どもが小学校の特別支援学級に在籍していた時、担当教員の対応が、障害のある子どもに対する配慮が足りず、差別的だと感じることが多かった。 当時の担当教員と管理職へ、差別解消法と条例の周知をしてほしい。

(対応)

市教育委員会から聞取り調査を行い、これまで行ってきた対応について確認を行った。相談者の要望を伝え、今後も継続的に教員の研修等で障害者差別解消法、条例の周知をしていただけるよう依頼した。

(結果)
数年前から、市教育委員会が、学校や担当教員への指導や研修を継続的に行っていることが分かった。特別支援コーディネーターの研修の中で、差別解消法と条例について説明を行い、改めて周知を行うこととなった。相談者の了承を得たことから、終結とした。
  
(コメント)
学校の教員が、障害や障害の特性について理解を深めることはもちろん、特別支援教育に関わる教員自身の専門性を高めるために研鑽を積むことは必要不可欠であると考えられます。また同時に、障害のある子ども本人やその家族と向き合い、どのような配慮が必要で、求められていることは何か、確認をしながら指導・支援することが望まれます。学校側と、障害のある生徒側が、お互いに話し合い理解し合える関係を築くことも大事なことであると感じられます。

(3)建築物の利用の事例
(事例
)
障害者用駐車場の設置について

(相談者
)
身体障害のある人(車いす使用)

(相談内容)

新築予定の公共施設の障害者用駐車場について、施設の正面玄関前に設置してほしい。それ以外のところへ設置されると利用しづらく、障害のある人に対する差別である。
(
対応)

建築を担当する部署から聞取り調査を行い、現地調査を行った。

(結果)
正面玄関前に障害者用駐車場の設置を検討されたが、正面玄関前が一般道路であるため、法的及び安全面から、相談者が要望する場所に障害者用駐車場を設置することは不可能であることが判明した。障害者用駐車場は、設置可能な場所で、建物出入り口から最も近い(出入り口から約20M)位置に設けられることとなった。また、不便を感じられる来訪者には、施設へ連絡をもらえれば職員が手助けすることとしている。相談者は、自力歩行不能で手動車椅子を使用しており、外出時に介助者はつけていない。移動経路の傾斜や長い距離には困難を感じていたため、駐車場の施設出入り口への設置について、担当部署との協議を重ねてきた経緯があり、納得できない部分がある。しかし、県としては、法的及び安全性の面や代替案の提示等、一定の合理的配慮がなされていると判断した。
(コメント)
障害のある人の求めに全て応えなければならないと考えることは、この条例が目指す共生社会の実現に必ずしも合致するとは言えません。相談者の要望どおりに対応することにより、障害のある人はもちろん、他の施設利用者の安全を確保できない状況になってしまうことがあります。条例では、互いの話し合いで様々なトラブルを解消しようとするもので、「障害のある人とない人に分けて対立を煽るものではない」という概念を規定しています。

(4)情報の提供等の事例
(事例)

手話通訳について
(
相談者)

手話通訳の派遣団体
(
相談内容)

芸能文化のイベントに手話通訳を派遣した際、イベント運営会社から、手話通訳を「しなくていい」と言われた部分がある。イベント会社は、「主催者側が判断した」と説明しているが、どのような状況からの判断か確認してほしい。

(対応)

主催者側の担当者から、聞取り調査を行い、状況の確認を行った。
(
結果
)
主催者側が手話通訳を「しなくていい」と指示したのは手話通訳者の負担を減らす目的であったことがわかり、情報保障としての手話通訳の役割を正しく認識していなかったことが判明した。今後は、主催者側の聴覚障害や手話通訳に対する正しい理解を深め、イベント開催に向けての準備段階で、連絡確認を密にし、柔軟な対応が求められることについて双方に助言を行った。双方の了承を得たことから、終結とした。

(コメント)
本件は、双方の状況をお互いに理解することで、課題が明確になりました。今後、準備の段階で連絡確認を密にし、障害のある人にとってどのような配慮が必要で、合理的配慮を提供する側は、どのようなことが実施可能か検討しながら、柔軟な対応が求められると考えられます。また、聴覚障害や手話通訳についての理解が深まり、周知されていくことが望まれます。

3 その他の相談事例
(1)その他の事例
(事例)

生活費の貸付制度の利用について
(
相談者)

知的障害のある人

(相談内容)
生活保護費のほとんどをパチンコで使ってしまった。生活も苦しいので貸付制度を利用したいが、担当者から断られた。これは障害のある人に対する差別なので、お金を貸すように言ってほしい。

(対応)
生活費の貸付制度を担当する窓口の担当者から、聞取り調査を行い、状況確認を行った。

(結果
)
 相談者が利用したい貸付制度は、生活保護費の支給日から1週間は、新規の貸付ができない規則であることが分かった。「障害を理由とした差別」には該当しないが、相談者の金銭管理の課題もあることから、日常生活自立支援事業の金銭管理制度を利用すること等について助言を行った。相談者の了承を得たことから、終結とした。

(コメント)
「不均等待遇」とは、「障害又は障害に関連する事由を理由として、区別、排除もしくは制限し、又はこれに条件を課し、その他の異なる取扱いをすること」であり、この条件において、そのような行為を禁止しようとするものです。差別に該当するかどうかは、「障害を理由として行われたかどうか」が焦点になります。差別に該当しないと判断した場合であっても、問題を解消するためには、相談者にとって何が必要か一緒に考える必要があると考えています。

(2)その他の事例
(事例)

個人間のトラブルについて

(相談者)

精神障害のある人

(相談内容)
ペットの世話ができなくなったので、インターネットサイトを利用して、ペットの譲り渡しを行った。その後、ペットを譲った相手の人に、譲ったペットについての要望の電話を何度かしたら、「もう話したくない」と言われた。これは障害のある人に対する差別なので、私の要望に応えるようにしてほしい。

(対応)
相談者が相談している他の相談窓口と連絡をとり、詳細を確認したところ、本件は個人間の問題であるため、条例による対応はできないと判断した。相談者の疑問点については、調査結果を説明した。

(結果)
相談者へ、個人間の問題のため、条例における対応はできないことを説明した。相談者は、ペットを譲った相手の人が相談者の求めに応じてくれている部分もあることを了承され、疑問に思っていたことも解決したことで安心されたため、終結とした。
(コメント)
事業者等の社会的枠組みが介在しない純粋な私人間の問題については、相談者から相手方となる私人との調整の求めがあった場合でも、傾聴にとどめることを基本方針としています。それぞれの相談内容によって、事業者や自治会等のその他の団体に対して事実確認や調整を行うことができる場合は、その社会的枠組みの中での調整で解決が図られるよう、対応することとしています。

おわりに
本県では、平成26年4月1日に「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」を施行し、条例施行後3年目となる平成28年度は、前年度の活動経験も踏まえ、相談活動や条例の普及啓発に努めてきました。
また、国においては、平成28年4月1日から「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。
本県の条例もこの法律も、全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現という目的は同じです。
今後も相談制度の適切な運営を図るとともに、法律と併せて、条例の更なる普及啓発に努めてまいります。

相談・問合せ先
長崎県福祉保健部障害福祉課 広域専門相談員
郵便番号 850-8570
住所 長崎市江戸町2-13
電話 095-895-2450
ファックス 095-823-5082
メール s04100@pref.nagasaki.lg.jp